卓上棚板式 真空凍結乾燥機
AdVantage Pro シリーズ
コンパクトなベンチトップタイプの棚板式凍結乾燥機
AdVantage Proシリーズは、乾燥庫とコンデンサーが一体となったコンパクトな本体デザインとなっており、卓上に設置することができる小型の棚板式凍結乾燥機です。
組込み式の制御コントローラーIntellitronicsにより、棚板温度や乾燥庫真空度の制御、凍結乾燥プログラムの作成と実行、サンプル乾燥後の復圧やバイアルの自動打栓などが可能です。
製薬会社における創薬化学研究や創薬物性研究あるいはプロセス化学研究、診断薬や研究用試薬の開発、ワクチン開発、ペプチド合成などにお奨めです。
用途に応じて、棚板段数や様々なオプション・アクセサリーをご選択いただけます。
バイアルやプレートには棚板式の凍結乾燥機を
バイアルやプレートに入った検体の凍結乾燥は、乾燥棚をドラム内に設置した多岐管式(マニホールド式)の真空凍結乾燥機でも行うことができます。
しかし、多岐管式の真空凍結乾燥機は、棚温度のコントロールができないため、予備凍結を装置内で行うことができません。また、棚を加温することができないため、昇華でサンプルから奪われる熱を補完できず、一次乾燥に非常に時間がかかってしまいます。熱電対温度プローブを使用できないので、サンプル温度の測定を行うこともできません。
さらに、多くの場合、多岐管式凍結乾燥機は凍結乾燥プログラムの機能に乏しく、単にコンデンサーを冷やして真空にすることしかできないものもございます。
一方で、床置きの棚板式凍結乾燥機は、機能には優れるものの装置が大型で消費電力も大きくなっています。
ATS VirTisのAdVantage Proは、卓上に設置できるコンパクトサイズながら、床置きの棚板式凍結乾燥機に準じた多彩な機能と優れた性能を持ちます。
予備凍結~一次乾燥~二次乾燥~復圧まで凍結乾燥レシピを組んで自動運転ができるだけでなく、予備凍結時のアニリーングや二次乾燥終了後のバイアルの自動打栓(オプション)も可能です。熱電対プローブを用いたサンプルの温度測定にも対応しています。
Advantage Proの特徴と利点
- 省スペースなベンチトップタイプの棚板式凍結乾燥機
- フルカラー&タッチスクリーンの制御ソフトウェア Intellitronics
- 凍結乾燥レシピの作成(予備凍結:10ステップ、乾燥:12ステップ)
- 全凍結乾燥工程の運転を設定したレシピで自動コントロール
- 棚板段数:1段~3段を選択可能
- 棚板:固定 or 可動(打栓機能付)を選択
- Eメールによるアラート通知機能
- 外部PCによるリモートコントロール
システムの選択
AdVantage Proのシステムは、下記の❶~❼の手順で選択することができます。
最適なシステムがわからない場合は弊社までお気軽にお問い合わせください。想定されている用途をお聞きした上で適した構成をご提案いたします。
❶ 棚板段数の選択
バイアルの外径と同時に処理する最大本数から必要な棚総面積を計算し、チャンバーの棚板段数を選択します。
1段あたりの棚板サイズは幅260 x 奥行355 x 高さ9.5 mmです。
棚の段数が多いほど棚と棚の上下間隔が狭くなります。使用するバイアルの背の高さにご注意ください。
棚の総面積 | 上下の棚間隔 | |
---|---|---|
1段 | 922 cm2 | 158 mm |
2段 | 1,844 cm2 | 73 mm |
3段 | 2,766 cm2 | 44.5 mm |
オプションのシェルフラッチングキットを使用することにより、使用する棚板の枚数と間隔を変更することも可能です。
- 2段 ➡ 1段:棚板間隔 73 mm ➡ 142.2 mm
- 3段 ➡ 2段:棚板間隔 44.5 mm ➡ 66 mm
棚板ラッチングキット
ラッチング前(2段)
ラッチング後(1段)
❷ 固定 or 可動棚の選択
棚板の固定(Bulk)、可動(Stoppering:打栓機能)を選択します。
打栓機能を用いることにより、凍結乾燥終了後にサンプルを取り出すことなく、任意の圧力下でバイアルにゴム栓を密栓することが可能になります(打栓バイアルを用いる必要があります)。
打栓バイアルを用いたバイアルの密栓
打栓機能の稼働には圧縮空気を用います。4.1~6.2 bar(60~90 psig)のエア供給源、もしくはエアコンプレッサーをご用意ください。
❸ チャンバードアの材質の選択
アクリル製(標準)、もしくはガラス/アルミニウム製(オプション)から、チャンバードアの材質をお選びいただけます。
アセトニトリルやエタノールなど有機溶媒をご使用のアプリケーションでは、耐性の高いガラス/アルミニウム製のドアをご選択ください。
※ ドアは購入後に変更することもできる後付け可能オプションです。
アクリルドア(標準)
ガラス/アルミニウムドア(オプション)
➍ 真空ポンプの選択
油回転ポンプ、もしくはオイルフリーのスクロールポンプ(ドライポンプ)からお選びいただけます。
どちらのポンプを使用しても、チャンバーの制御真空度、すなわち凍結乾燥能力に違いはありません。スクロールポンプのほうが日常メンテナンスの労力は少なくなります。
油回転ポンプ
スクロールポンプ
❺ 多岐管(フラスコ用マニホールド)オプションの選択
AdVantage Proには、本体側面にフラスコ 4つを同時に接続することのできる多岐管(マニホールド)を取り付けることができます。
これを付けることで、バイアルやプレートだけでなくフラスコの処理も1台で行うことができるようになります。
※ 多岐管は購入後に追加することもできる後付け可能オプションです。
フラスコ用サイドマニホールド
❻ 制御方法の選択
AdVantage Proは、備え付けの制御コントローラーIntellitronicsにより本体制御や凍結乾燥レシピの作成・実行を行うことが可能です。
さらにSP社より提供されるソフトウェア入り外部PCを取り付けることで、リモートでの制御やデータ取得を行うことが可能になります。
※ リモートPCは購入後に追加することもできる後付け可能オプションです
PCソフトウェアの運転レシピ作成画面
PCソフトウェアのトレンド分析画面
❼ その他のオプションの選択
AdVantage Proでは、その他にも各種のオプションやアクセサリーをご用意しています。
バルクトレイ |
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バルクサンプル用のトレイです(幅254 x 奥行356 x 高さ38.1 mm)。 サンプルを直接注ぐことも、マイクロウェルプレート等を並べて設置することも可能です。 |
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リムーバブルボトムトレイ |
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バイアルをセットするための使用するトレイです(幅254 x 奥行356 x 高さ25.4 mm)。 そのまま本体のチャンバーにセットした後に、底板だけを引き抜きます。バイアルを棚板に並べる作業が簡単になります。 |
ストッパリングロッド | No Image | 高さ20 mm 以下の小型バイアルを自動打栓したいときに使用する延長ロッドです。 |
シェルフラッチングキット |
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棚板間隔を広げるためのキットです。 高さのあるバイアルやビーカーを使用する時に間隔を広げて使用します。簡単に着け外しできます。 |
コンデンサードレイントレイ | No Image | チャンバーのコンデンサーコイルの下に敷いて使用します。 DMSOなど、排液チューブが劣化してしまう可能性のある溶媒を使用する際に必須です。 |
フィルタートラップアッセンブリー |
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ポンプを保護するためにチャンバーと真空ポンプの間に取り付けます。 フィルターカートリッジと一緒に使用します。カートリッジは酸用(Soda Sorb)、有機溶媒用(Activated Charcoal)、水分用(Molecular Sieve)の3種類があります。 |
AdVantage Proの制御
Intellitronicsでの制御(標準)
AdVantage Proは、本体内蔵の一体型コントローラーIntellitronics™により装置の制御を行います。
最大16個の凍結乾燥レシピ(予備凍結ステップ:10ステップ、凍結乾燥ステップ:12ステップを含む)の保存が可能で、レシピの読込みや編集も簡単に行っていただけます。また、各機能をマニュアルで制御することも可能です。
System Status 画面
Recipe Mode 画面
Recipe 選択画面
Manual Mode 画面
Synoptic 画面
PCソフトウェアでの制御(オプション)
AdVantage Proは、リモートPCによる制御も可能です。
PCソフトウェアでの制御により、運転レシピのプログラムや運転後のランデータのエクスポートなどの場面で利便性を向上させることができます。
レシピ設定画面
運転画面
クリーンルーム仕様
AdVantage Proはクリーンルームと一体的に設置するクリーンルーム仕様での納品も可能です。
クリーンルーム仕様の詳細はご相談ください。
製品仕様
AdVantage Pro
棚面積 | 922 cm2 (1枚)/ 1,844 cm2 (2枚)/ 2,766 cm2 (3枚) |
---|---|
棚間隔 | 158 mm (1枚)/ 73 mm (2枚)/ 44.5 mm (3枚) |
棚温度制御範囲 | -55 ~ +60 ℃ |
棚到達温度(50Hz / 60Hz) | -62℃ / -65℃ |
棚冷却速度(+20℃→-40℃) | 30 min 以内 |
棚温度均一性 | ±1.0 ℃ |
コンデンサー到達温度(50Hz / 60Hz) | -82℃ / -85℃ |
コンデンサー最大容量 | 6 L |
除湿量(24時間) | 4 L |
除湿量(1時間) | 0.17 L/hour |
コンプレッサー数 | 2 |
コンプレッサー出力(馬力) | 0.25 kW (0.33 hp)、0.56 kW (0.75 hp) |
冷媒種類(Gas 1 / Gas 2) | R407C / R508B |
冷媒充填量(Gas 1 / Gas 2) | 0.420 kg / 0.220 kg |
本体サイズ | 幅565 x 奥行653 x 高さ754 mm |
本体重量 | 140 kg |
必要電源 | 208-230 VAC、単相、15 A、50Hz/60Hz |
最大排熱量(真空ポンプ含まず) | 6000 BTU/h (1.8 kW) |
真空ポンプ | 油回転ポンプ、またはスクロールポンプ |