自動ペプチド合成装置
ラボスケールからミドルパイロットスケールまで
Gyros Protein Technologiesのペプチド合成装置
革新を続けるペプチドシンセサイザーの世界的リーダー
Gyros Protein Technologies社は、1985年に米国アリゾナ州のTuscon(ツーソン)にてProtein Technologies社として設立された自動ペプチド合成装置の老舗メーカーです。
設立から35年以上にわたり、柔軟性と頑健性に優れた新たなペプチド合成装置の開発を続け、ペプチド研究のエキスパートからビギナーまで世界中の研究者に長年愛用され続けています。
ペプチド医薬品やペプチドワクチンの研究開発はもちろん、ケミカルバイオロジーなどの基礎研究、イメージングプローブ開発、食品/化粧品ペプチドや畜産/水産飼料開発などの応用研究に至るまで、多くの研究領域で使用されています。
確かな実績と信頼
製品ラインナップ
ラボスケールからミッドパイロットスケールまで
合成スループット(同時に並列で合成できる反応容器の数)と合成スケール(1種類のペプチドあたりの合成量)の異なる3つのモデルから、研究目的や創薬ステージに合わせて最適な機種をご選択いただけます。
ラボスケール | ラボスケール/プロセス開発 | ミッドパイロットスケール | |
スループットとスケール | |||
スループット(パラレル反応数) | 2 / 4 / 6 | 24 | 1 |
合成スケール | 0.005 - 1.0 mmol/ベッセル (最大 6 mmol) |
0.005 - 1.0 mmol/ベッセル (最大 24 mmol) |
1 - 200 mmol |
機能 | |||
加熱合成 | ● (Induction Heating) |
● (IR Heating、1ベッセルのみ) |
|
ミキシング(攪拌) | ● (ボルテックス+窒素バブリング) |
●
(窒素バブリング) |
● (3種類から選択/組み合わせ) |
リアルタイム UVモニタリング | ● (すべてのベッセルに搭載可能) |
● (1ベッセルのみ) |
|
PurePep Pathway テクノロジー | ● | ● | ● |
Real-Time Flow テクノロジー | ● | ||
SafePep テクノロジー | ● | ● | ● |
Single-Shot | ● | ● | ● |
自動切り出し機能 | ● | ● | ● |
バリデーション対応 | |||
IQ/OQ サービス | ● | ● | ● |
21 CFR Part 11 対応 | ● | ● | ● |
詳しく見る | 詳しく見る | 詳しく見る |
アプリケーション
多彩な研究領域、多様なペプチドの合成に対応
Gyros Protein Technologiesのペプチド合成装置は、基礎研究から応用研究まで、新規ペプチドの合成を必要とする非常に多くのフィールドで使用されています。
- ペプチド医薬品の研究開発
- がんペプチドワクチン研究(ネオアンチゲンなど)
- 感染症ワクチン研究
- 診断薬応用
- ケミカルバイオロジー
- イメージングプローブ開発
- 食品・栄養学
- 化粧品応用 など
簡単な配列から複雑なペプチドまで
短鎖リニアペプチドの合成から、長鎖ペプチド、環状ペプチド、疎水性ペプチド、分岐ペプチド、修飾ペプチドなど難易度の高いペプチドまで幅広い種類のペプチドの合成に柔軟に対応していただけます。
あるいは、さらに特殊な構造のペプチド、ペプチド核酸やオリゴ核酸の合成にも対応しています。
ホワイトペーパーをダウンロード
Meeting The Challenge of Synthesizing Complex Therapeutic Peptides
複雑なペプチド医薬品の合成を成功するために
治療ペプチドやペプチドワクチンの候補となるペプチドは比較的合成が困難なケースがあります(長鎖、環状、分岐、疎水性、修飾など)。そのようなペプチドを高純度に合成するにあたっての基本的な考え方と、それを克服するためのGyros Protin Technologies社のテクノロジーについて説明しています。
Optimizaing Synthesis of SARS-CoV-2 Peptides for Epitope Analysis
エピトープ解析のためのSARS-CoV-2 ペプチド合成の最適化
免疫系によって認識されるSARS-CoV-2エピトープ領域のペプチドライブラリ合成を例に、高純度で合成することが困難なペプチド配列を含めて、合成ケミストリー(レジン、試薬、プロトコル)をいかに改良して合成の最適化を行ったかを解説しています。
ペプチド合成機の選び方
はじめてペプチド合成装置を購入される方のために
自動ペプチド合成装置の購入を初めてご検討されている方にとって(あるいは既に合成機を使用されている方にとっても)、数ある合成装置の中から研究目的にかなう適切な1台を選択することは簡単ではありません。
一般的にペプチド合成装置は下記の5つのポイントを考慮して選択しますが、あらゆるすべての目的を1台でカバーするペプチド合成装置は存在しません。直近の研究内容はもちろん、将来を見通してより適切な装置を選択することが重要になります。
株式会社スクラムは、20年以上にわたり受託合成ペプチドのプロバイダーとして、様々な種類のペプチドを自社ラボで合成してきた経験を持ちます。ペプチド合成装置の選定で迷われている方は是非ご相談ください。
❶ 合成したいペプチドの種類(合成スループット)
どれくらいの種類のペプチドを1日あるいは1週間に合成したいかは、ペプチド合成装置を選択するにあたっての最初のキークエスチョンです。
必要とされるスループットは、研究内容と目的によって大きく異なることがあります。例えば、ペプチド創薬の探索早期(Early Screening)では、数百の異なる配列のペプチドをできるだけ短期間で合成する能力が求められるでしょう。一方で、リード最適化のような探索中期では、それほど多くの種類のペプチドの合成は必要としないでしょう。さらに開発後期では1種類のペプチドしか合成する必要がなくなるでしょう。一方で、合成条件の検討を行うプロセス研究では、合成するペプチドの種類は少なくても多くの合成条件を同時に検討できることが重要になるかもしれません。
ペプチド合成装置は、機種によって同時に反応できるベッセルの数が異なります(複数の容器で並列に合成できる装置はパラレル合成装置と呼ばれます)。装置によっては、ベッセル数を柔軟に追加できるものもございます。
一方で、マイクロ波タイプのペプチド合成装置は、複数のペプチドをタンデムに連続合成することはできますが、複数のペプチドを並列に同時合成することはできないので注意が必要です。
❷ 合成したいペプチドの量(合成スケール)
1種類のペプチドについて、どれくらいの量を合成したいかは次に大切なポイントです。
必要とする合成量はそのペプチドの用途によって異なることが予想されます。例えば、細胞アッセイ(in vitro 試験)、動物試験(in vivo 試験)、ヒト試験(臨床試験)では、求められる合成スケールが大きく異なります。
ペプチド合成装置は、機種によって1ベッセルあたりの最大合成量が異なります。スクリーニング~リード最適化~プロセス開発~臨床試験などの創薬ステージ、あるいは実験目的によって適切な合成スケールの装置を選択することが大切です。
その際に、パラレル合成装置は合成量のスケールアップにも役立つ点は知っておくべきでしょう。1種類のペプチドを複数の反応ベッセルでパラレルに合成すれば、結果的にそのペプチドの合成量を稼ぐことが可能になります。
❸ どんなペプチドを合成するか
ペプチド合成は、合成するペプチドの配列と長さあるいは構造によって、その合成難易度と精製難易度が異なります。
ペプチド創薬やペプチドワクチン開発では、難しい配列や難しい構造のペプチドの合成を求められることも多く、それらのペプチドを目的に適う純度と収量で得られるかどうかは大切なポイントの1つとなります。
例えば、疎水性の高い配列は、合成工程でアグリゲーションが問題になるだけでなく、合成後のHPLC精製における目的ピークの分取が困難です。長い配列(例:30アミノ酸以上)は、合成に時間がかかり、不完全な配列が多くできる問題があります。修飾ペプチド(例:リン酸化ペプチド)では、修飾箇所の数と部位によって修飾アミノ酸の挿入が難しいことがあります。あるいは、環状ペプチド、ペプトイド、ペプチド核酸(PNA)の合成には、特別な試薬やモノマーを必要とすることがあります。
マイクロ波(Microwave: MW)あるいは誘導加熱(Induction Heating: IH)による加熱合成法は、アミノ酸カップリングの反応効率を著しく向上させることができます。そのため難ペプチドの合成効率を上げる1つの方法として有効です。しかし、加熱合成だけですべてを解決できるわけではなく、レジン(樹脂)の種類、カップリング試薬(縮合剤)の種類、反応時間などを合成するペプチドの配列に合わせて適切に選択することが、難合成ペプチドの合成を成功させる近道となります。
そのためには、様々な試薬を用いて様々な条件で合成することができる柔軟性の高いペプチド合成装置が有利となります。
➍ 必要とする合成純度
固相合成法によるペプチド合成では、脱保護と脱水縮合の繰り返しにより、1アミノ酸ずつ順に鎖長を伸ばしていきます。そのすべての反応を100%の効率で行うことができれば、すべてが目的とする配列をもつペプチドを合成することができます。しかし実際には、副反応や不完全な反応をなくすことはできず、すべてのステップを100%の効率で完遂することはできません。
例えば、70 merのペプチドを合成するとき、それぞれの反応ステップの効率が97%とすると、合成後に得られる目的ペプチドの割合は理論上1.4%となります。
- 各ステップ(脱保護と縮合)の反応効率 97%:0.97140 = 1.4 %
各ステップの反応効率が100%に近づくほど、目的配列の割合は上がります。
- 各ステップ(脱保護と縮合)の反応効率 99%:0.99140 = 24 %
- 各ステップ(脱保護と縮合)の反応効率 99.5%:0.995140 = 50 %
目的物以外のエラー配列、例えば未完成の配列、一部のアミノ酸が欠損した配列、副反応により生じた配列(例:官能基の保護不良、酸化、アスパルチミド形成)などは、合成後のHPLC精製で取り除く必要があります。合成純度の不良は、その後の精製工程の難易度を上げ、作業量を増大させ、最終目的物の収量を著しく低下させます。
最終物となるペプチドにどこまでの純度を求めるかは、そのペプチドを何の実験に用いるかに依存します。実験目的ごとに求められるペプチド純度の一般的な指標は こちらをご参照ください。
必要とする純度を得るには、カップリング反応の効率を最適化するとともに、副反応、欠損、ラセミ化などを許容レベル以下に抑えることが大切です。特に、合成難度が高いペプチドの場合には、問題となる反応箇所を特定し、適切な対策を施すことが重要です。
マイクロ波(Microwave: MW)あるいは誘導加熱(Induction Heating: IH)による加熱合成は合成効率と合成スピードを上げる一つの方法ですが、合成の最適化はそれだけに留まりません。一般的に固相ペプチド合成の最適化は下記のような項目を含みます。
- 最適なレジン(樹脂)の選択
- 最適な縮合剤(カップリング試薬)の選択
- 温度条件の選択(一般的に高温での反応は合成純度の向上をもたらすが、常にそうであるとは限らないので注意)
- 脱保護反応の回数と時間の最適化
- スカベンジャーの選択
- ダブルカップリング
- アセチル化などによるキャッピング
- シュードプロリン誘導体、ジペプチドビルディングブロック、添加剤、側鎖保護などによる副反応の回避
様々な配列を適した方法で合成するには、レジン選択、縮合剤選択、合成プロトコル選択の柔軟性の高いペプチド合成装置を用いることが大切です。パラレルタイプの合成装置は、複数の合成条件を同時にランできるため最適化の時間を短くすることができます。
その他に、反応ステップ間のクロスコンタミネーションを防ぐことで、副反応を抑制につながります。脱保護反応のモニタリングは、難合成箇所を特定するのに有用であると同時に、試行錯誤の回数を削減するのに役立ちます。
❺ アプリケーションサポート
目的の配列あるいは構造のペプチドの合成を成功するには、時には試行錯誤が必要になるときもあります。
ペプチド合成を初めて行う方にとって、それは難しい工程になるかもしれません。そんなとき、経験が豊富な第三者のサポートが頼りになります。
Gyros Protein Technologies社は、様々な種類のペプチドの合成を、世界のエキスパートの研究者とともに成功させてきた経験を持ち、お客様が求めるペプチドの合成を成功に導くべく手厚いサポートを行っております。
さらに、株式会社スクラムは長年にわたりカスタムペプチドの受託合成プロバイダーとして実績を積んでおり、経験豊富なラボスタッフが皆様のペプチド合成ワークを手助けさせていただくことができます。合成ワークはもちろん、そのあとの精製や凍結乾燥も含めたサポートを提供いたします。