フローケミストリーに興味をお持ちのすべての方に

英国UNIQSIS社 フロー合成システム

フロー合成装置

フロー合成(フローケミストリー)とは?

フロー合成(フローケミストリー)は、化学合成に新風を吹き込む新たな有機合成手法です。従来のバッチ式の合成(フラスコ合成あるいはマイクロ波合成)に加えて、フロー合成法を適切な場面で使用することで、合成反応の幅や合成スケールを容易に広げることが可能になります。

フロー合成では、反応試薬を細い管型の反応器(リアクター)に流しながら連続的に合成を行います。反応器としては、ガラス基板に刻まれたマイクロ径の微小流路(マイクロリアクター)、ミリ径のチューブ(チューブリアクター)、あるいは試薬や触媒の充填されたカラムリアクターを使います。

まず、それぞれの反応試薬(試薬A、試薬B)はポンプによりリザーバーから流路内に送り込まれます。次に、各試薬がミキサー部(T-ミキサー、マイクロミキサー等)で混合され、流路内を流れながらリアクター部で反応が進んでいき、最終的に生成物となって流路から排出されます。

フロー合成概念図

フロー合成の概念図

フロー合成法の特徴と利点

❶ 高温高圧反応による高い合成効率

一般的に合成効率は反応温度に依存し、高い温度で反応するほど高い合成効率を得ることができます。
しかし、この反応温度は溶媒の沸点以上に上げることはできません。

フロー合成では、反応容器内を加圧しながら反応を行うため、溶媒を大気圧下での沸点以上の温度まで上げて反応を行うことができます。この高温高圧反応により、従来のフラスコ合成よりも高い反応効率で合成を進めることが可能です。その反応効率はマイクロウェーブ合成に匹敵することが知られています。

また、沸点の低い溶媒でも高温で反応させることが可能なため溶媒選択の幅が広がり、合成後のワークアップ(溶媒留去)が容易になるというメリットもございます。

❷ 連続合成による容易なスケールアップ

一般的なバッチ合成では、生産量は容器のサイズに依存し、容器の大きさ以上の量を合成することはできません。

フロー合成は違います。
リアクター内を反応液が流れながら合成が進むため、連続的に流し続けることで生産量を容易に増やすことが可能です。マイクロウェーブ合成法に匹敵する高い合成効率と組み合わせることで大量生産をより簡単に行うことができます。

さらに、バッチ合成で必要とされるスケールアップに伴う反応条件の変更が不要で、少量から大量までシームレスにスケールを上げていくことができます。サイズアップごとの反応条件の検討が不要なため、簡単に短期間で生産量をUPすることが可能です。

❸ 迅速、精密、かつ均一な温度制御

フローケミストリーでは、マイクロ流路やミリ径チューブなどの狭い流路内で反応を行います。フラスコ等の反応容器と比べて単位体積あたりの比表面積が格段に大きいため、高速かつ効率的に加熱(あるいは除熱)が可能です。

すなわち反応系の温度を精密にコントロールすることが可能で、急速な発熱を伴う反応の制御や急速な加熱・冷却を必要とする反応に適しています。また、反応系全体を均一な温度に保つことが可能で、フラスコで見られるような局所的な温度上昇(ホットスポット)が起こりづらく、副反応による副生成物の抑制も期待されます。

さらに、リアクター容量の小ささより、加熱/冷却のための温調装置も大掛かりな装置は必要とせず、空間的にもコスト的にもメリットがある手法と言えます。

➍ 試薬同士の迅速な混合・拡散

試薬の拡散速度は反応容器の大きさに依存します。

フロー合成は、バッチ式と比べて試薬混合の場が小さいので、速やかな混合・拡散が可能です。
単純なT-ミキサーで混ざりにくいような試薬の場合も、ミキサータイプを工夫することで混合効率を向上できる可能性があります。
混合・拡散が反応律速となるような非常に早い反応に対応しやすい特徴を持ちます。

❺ 試薬混合比(化学量論)の制御

フローケミストリーでは、反応試薬の混合比をそれぞれの試薬の濃度と流速でコントロールします。
試薬同士の混合の場が小さいため、各試薬は流速で定められた混合比で正確かつ迅速に混ざり合います。

また、反応後の生成物は流路を次々と流れていくので、逐次反応等の副反応が起こる可能性を抑制できます。

正確な化学量論を必要とする反応、優れた選択性が求められる反応に適しています。

❻ 高い安全性

フラスコ合成と比較し、一度に反応する試薬量(もしくは一度に生成する危険な反応中間体の量など)が少ないので、万が一、爆発が起こった場合も影響を最小限にとどめられます。

また、十分に小さい流路内では炎が上がったとしても燃焼が持続しにくいと言われています。
流路は、半閉鎖系なので、試薬や溶媒の暴露も最小限になります。

フロー合成のアプリケーション例を見る

UNIQSIS社のフロー合成システム

英国UNIQSIS社は2007年に設立されたフローリアクターの製造会社です。
フローケミストリーの初心者から熟練者まで、様々な要望にお応えするラボスケールのフロー合成装置をラインナップし、製薬会社からアカデミアまで世界中の研究者の皆様に幅広く使用されています。

FlowSyn シリーズ FlowLab シリーズ Flow モジュール
FlowSyn_Edited_2
FlowLab_Edited_2
Flow_module
  • ポンプ2基、T-ミキサー、コイルリアクター、カラムリアクター、制御パネルからなる一体型システム
  • 自動運転に対応(バルブ操作を装置が自動で実施)
  • モジュール追加で機能を拡張し様々な目的と用途に対応可能
    - フラクションコレクター
    - オートサンプラー
    - 冷却反応モジュール
    - 光反応モジュール
    - ガス反応モジュール
    - 追加ポンプ
    など
  • 基本流路の材質をPTFE、ステンレス、Hastelloyから選択
  • スケールアップに適した高流速モデルも選択可能
  • フローケミストリーを初めて行う方のためのエントリーモデル
  • ミニマムな構成から始めて、将来的に複雑なシステムまで自由度高くシステムの構築が可能
  • 実験内容に応じて、ポンプユニットとリアクターユニットの種類と数を選択し、フレキシブルにシステムを組み上げることが可能
  • 2つの出発原料を混合して加熱する基本的使い方だけでなく、固体触媒反応、光触媒反応、冷却反応、あるいは多段連続合成まで、様々な用途に対応
  • 専用ソフトウェアがインストールされたコンピューターを介して各ユニットの制御が可能
  • フローケミストリーの各モジュール製品
  • 様々なタイプの送液ポンプ、リアクター、ソフトウェアなどから必要なモジュールを選んで目的の反応を行うためのシステムを自在に組み上げることが可能
  • 加熱あるいは冷却反応だけでなく光触媒反応のためのモジュールもあり
  • FlowSynやFlowLabへの追加モジュールとして使用することでシステムの拡張が可能
  • 他社のフローケミストリー製品への接続にも柔軟に対応

世界中の研究者に使われています

UNIQSIS社のフロー合成システムは、Dr. Steven LeyやDr. Oliver Kappeのラボをはじめ各国のフローケミストリー研究者に使用され、論文実績も豊富です。また、製薬会社の創薬化学やプロセス化学部門、あるいはケミカルインダストリーなどの産業界でも多数導入され実用されています。

論文例やアプリケーション例は下のリンクからUNIQSIS社のホームページで登録ダウンロードしていただけます。

アプリケーションノートたち
パブリケーションたち
ポスターたち_Edited_2
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